他の人の話を聞いたり、文章を読んだりするのは、情報を得るという大切な役目もありますが、共感するためというのもあると思います。本を読んで、昔の人たちも似たようなことで悩んだり、同じようなことを考えていたりしていたということを知ると、安心感とともにうれしい気持ちになります。と同時に、時代や環境が変わっても、人間はそうそう変わるものではないんだなとも思います。
自分が考えたと思っていることでも、本当は誰かの受け売りであって、話す言葉、書く文章にしても引用の連続と感じることがあります。もちろん単なる引用ではなくて、その間には編集という作業が入りますから、オリジナルよりもまずい出来になるということも十分にあります。主題は同じでも、その時代、その場所、その人に応じた変奏や演奏があると言ってもいいかもしれません。▲